今日の住宅にリビング・ダイニングルーム(LD)と呼ばれる形が多いのは、主としてこの“住宅の中心部における広がり”の確保のためであろう。この形式だと、どうしても食卓に意識が集中しにくい。普段の食事の時はそれほど気にならぬにせよ、例の“ちょっとあらたまった雰囲気”が演出しにくいのである。そういうことを考えると、リビング・ダイニングルームはただ広く、四角い部屋の半分がリビングで、残り半分がダイニング、というような形ではなく、リビング、ダイニングがそれぞれの中心領域を持つ、複心的な空間としてつくられる必要がある。
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必要な面積からすると一般に居間の方が大きいから、食堂はその一画に、副次的な中心を持つことにその副次的な中心性をたんに食卓を据えることでは生まれない。なんらかの具体的な空間処理、たとえば食事の場が、居間の中心から平面的にはくびれたり、L字形に折れ曲がったり、引っこんだアルコーヴになったりすること、また立体的には天井や床にレベル差があることなどが必要である。こうした空間的処理によって、食事の場は、居間の中心からすると、その広がりをつくる周辺部であるが、食事の際には居間から相対的に独立した空間になり得るのだ。