「個の時代」の到来によって、それまで家族が暮らしの中で共有していたモノや時間、そして空間は失われていきました。いまやテレビは一家に1台から、各部屋に1台ずつになりつつあり、子ども部屋にテレビかある世帯は、全体の21%という結果が出ています。このデータには小学校低学年も含まれているため、小学校高学年に限れば、おそらくもっと高率に達するはずです。住宅の設計打ち合わせでも、テレビを設置するための専用コンセントの設置は、子ども部屋にも当然のように要求されますが、かといって、なぜ子ども部屋にテレビを入れなければならないのか、本当に必要なのかという大切な議論はなされません。小学校5年生を対象に、朝と夜の食事風景を絵に描いてもらうというNHKの企画ありましたが、驚くべきことに多くの絵に、テレビを見ながら淋しく1人で食べている絵が描かれていました。両親が忙しいから、仕方なく1人で食べているのだろうと思いましたが、衝撃的だったのは、家族がいるのに食事を自分の部屋に持込み、好きなテレビ番組を見ながら食べている子どもがかなりいたことでした。しかもアンケートによると、その方が楽いと感じている子どもが、相当数いるということです。テレビ番組を1人でゆっくり観たいとか、ゲームをしながら食べたいといった子どもの要求を親が認めたから、「個食=孤食」が成り立つわけですが、その背景には、それぞれの生活を大切にしようという新しい家族の姿が、はたしてあるのでしょうか。
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